口癖を真似されるのが嫌なのはなぜ?無意識に真似する心理と対処法

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コップと紅茶からでるモヤ

自分がよく使う口癖を、いつの間にか家族や身近な人も使うようになっている。

最初は気にならなくても、何度も同じ言葉を使われると、なぜかイライラする。特に、夫が自分の口癖を使うだけでなく、子どもを叱るときの言い方まで似てくると、嫌な気持ちになることはないでしょうか。

相手に悪気がないことはわかっている。それでも、
自分の言葉や態度がそのまま使われることに、抵抗を感じてしまう。

こうした不快感は、単に「気にしすぎ」と片づけられるものではありません。

・自分の言葉を使われることへの違和感

・変えたいと思っている自分の態度を、目の前で見せられるような感覚

・家族の中で同じ怒り方が繰り返されることへの心配

など、いくつもの気持ちが重なっている可能性があります。

一方、人の口癖や話し方が自然とうつること自体は、日常のコミュニケーションで起こり得る現象です。本人が意識して真似しているとは限りません。

この記事では、会話の中で口癖や話し方が自然とうつる理由を、心理学や脳科学の知見をもとに解説します。さらに、真似されることに不快感を覚える心理や、夫婦・親子で怒り方が似てくることへの向き合い方、日常のストレスを和らげる工夫も紹介します。

この記事で分かること

  • 人の口癖や話し方が無意識にうつる理由
  • 口癖を真似されるとイライラする心理
  • ミラーニューロンと模倣・共感の関係
  • 夫婦や親子の間で言葉や怒り方が似てくる理由
  • 真似されることへのストレスを減らす方法
  • 相手を責めずに気持ちを伝えるコミュニケーション

自分の感じ方を否定する必要も、相手に悪意があると決めつける必要もありません。

何が起きているのかを整理することで、身近な人との関係を少し楽にするヒントを探していきましょう。

目次

人の口癖や話し方は、なぜうつるのか?

ふたつのティーカップ

家族や友人、職場の人と長く一緒に過ごしていると、相手がよく使う言葉を自分も使うようになることがあります。

語尾や言葉の選び方だけでなく、話す速度、声のトーン、相づちの打ち方などが似てくることもあります。

このような現象には、日常的な学習や習慣、相手に合わせるコミュニケーションなど、さまざまな要因が関係していると考えられます。

繰り返し聞く言葉は、自分の習慣にもなりやすい

私たちは、日々の会話の中で多くの言葉や表現に触れています。

そのなかでも、身近な人が繰り返し使う言葉は、記憶に残りやすくなります。そして、自分でも同じような状況に置かれたとき、自然と記憶した表現が出てくることがあります。

例えば、夫婦のどちらかが特定の語尾や相づちをよく使っていると、もう一方も同じ表現を使うようになることがあります。

これは、必ずしも相手を意識的に真似しているわけではありません。聞き慣れた言葉が、自分の言語習慣の一部になっている可能性があります。

身近な人の話し方が自然と定着する

人は会話の中で、相手の話し方やテンポに合わせることがあります。

例えば、相手がゆっくり話す人なら、自分も落ち着いたテンポで話す。相手がゆっくり話せば自分も落ち着いた調子になり、よく使う言葉が移ることもあります。

こうした変化は、会話の中で相手に同調したり、相手や場面に応じて言葉を選んだりすることと関係しています。夫婦や家族のように一緒に過ごす時間が長い関係では、互いの表現が似てくることも不思議ではありません。

ここで分けて考えたいのは、会話の中で無意識に言葉が似てくることと、相手をからかったり、わざと真似したりすることです。口癖を使われたからといって、必ずしも悪意があるとは限りません。

ただ、相手に悪気がないとしても、不快に感じる気持ちまで我慢する必要はありません。真似する側の意図と、真似された側の感じ方は、別々に考えてよいものです。

「ミラーニューロン」は、口癖がうつることと関係している?

鏡から出るモヤ

人の行動を観察したり、相手の動作が自分に似てきたりする現象を調べるなかで、ミラーニューロンという言葉を目にすることがあります。

ミラーニューロンは、サルの脳の研究で発見された神経細胞で、「自分が特定の動作を行うとき」と、「他者が同じような動作をするのを観察するとき」の両方で活動することが知られています。

「相手に自然と同調する」働きには、ミラーニューロンも関係していると考えられています。

ただ、口癖が移る理由をミラーニューロンだけで説明できるわけではありません。親しい人の言葉をよく聞いていたり、会話の調子を合わせたりするうちに、自然と似てくることもあります。人との関わりの中で言葉や話し方が影響し合うのは、身近なことのひとつです。

口癖を真似されると、なぜイライラするのか?

悩む女性

人の口癖がうつるのは、日常の会話でよくあることです。ところが、自分の口癖を誰かに使われると、なぜか不快に感じることもあります。

自分も普段から使っている言葉なのに、どうして嫌なのだろう——と不思議に思う人もいるかもしれません。

感じ方は人それぞれですが、いくつかの理由が考えられます。

自分の言葉を、勝手に使われたように感じる

自分には自然な言葉でも、誰かが使うと、なぜか違和感を覚えることがあります。

特に、自分らしさの一部になっている口癖を相手が何度も使うと、「自分の領域に入ってこられた」と感じることもあるでしょう。

一方で、同じように口癖を使われても、親しみを感じる人もいます。言葉を共有することをどう受け止めるかは人それぞれ。だからこそ、同じ出来事でも感じ方が分かれるのです。

自分の嫌な部分を、見せられたように感じる

自分が普段使っている言葉を、他人の口から聞くと、自分の話し方や態度を客観的に意識することがあります。

たとえば、自分の強い口調を直したいと思っているとき、夫が同じような言い方で子どもを叱るのを見ると、自分の態度を外から見せられたように感じるかもしれません。相手への苛立ちだけでなく、自分自身への複雑な気持ちも重なっていることがあります。

もちろん、不快に感じる理由は人それぞれです。自分の言い方を意識させられるからではなく、真似されること自体が嫌な場合もあります。

自分の意図とは違う形で、言葉が使われることが嫌

たとえば、自分が子どもを叱るときに「もう、いい加減にして」と言うのは、何度伝えても聞いてもらえず、困っている気持ちからかもしれません。

ところが、夫が同じ言葉を強い口調で使うと、責めるように聞こえたり、子どもが萎縮しているように見えたりすることがあります。同じ言葉でも、そのときの表情や声の強さ、子どもの様子によって、受ける印象は変わります。

そのため、自分の口癖を相手が使ったとき、「同じ言葉なのに、自分が伝えたかったこととは違う」と感じ、抵抗を覚えることがあります。

本人が無自覚であることが、ストレスを強くする

自分の口癖を真似されるのが嫌でも、相手に真似している自覚がなければ、不快感は伝わりにくいものです。

自分にとっては何度も繰り返される気になる出来事でも、相手にとっては何気なく口にした言葉かもしれません。受け止め方の差が、ストレスにつながることもあります。

相手に悪意がないことと、自分が嫌だと感じることは両立します。相手の意図を決めつけず、自分の気持ちも「気にしすぎ」と片づけないことが大切です。

「私の真似をしないで」だけでは解決しにくいこともある

夫婦が話し合う様子

夫が自分と似た怒り方をしていると感じても、本人にその自覚がなければ、「まねしないで」と伝えるだけでは変わりにくいものです。だからといって、自分が先に直さなければ、と一人で抱え込む必要もありません。変えたいと思っていても、余裕のない日には難しいことがあります。

落ち着いて話せるときに、「お互いに強い口調になったら交代する」「あとから子どもに声をかけ直す」など、二人でできそうなことを一つ決めてみましょう。まずは無理なく続けられる方法を一緒に探すことが大切です。

真似されることへのストレスを減らすには?

風が窓から入る様子

真似されることが嫌だと感じたとき、無理に気にしないようにする必要はありません。

まずは、自分が何に不快感を覚えているのかを整理してみましょう。

自分の気持ちを知る

例えば、次のように考えてみます。

  • 口癖が似てくること自体が嫌
  • 自分の言葉を断りなく使われたように感じる
  • 変えたいと思っている怒り方を、相手に見せられるようでつらい
  • 子どもにも同じ言い方が向けられるのではと心配
  • 相手に自覚がないまま、何度も繰り返されることが苦しい

不快感の中身がわかると、相手に何を伝えたいのか、自分はどうしたいのかも整理しやすくなります。

相手の行動と、自分への評価は別と考える

夫が自分の口癖を使ったからといって、それだけで自分を馬鹿にしている、個性を奪おうとしている、と決まるわけではありません。無意識に言葉の習慣が似てきている可能性もあります。

相手の行動の意味を決めつけないことは、ストレスを減らすために役立つ場合があります。

ただし、相手の意図がわからないからといって、自分の不快感を我慢する必要もありません。

「言葉の意味合い」と「その行動について話し合いたいかどうか」は、別々に考えてよいのです。

すべての口癖を変えようとしない

一緒に過ごす人同士で、言葉や話し方が似てくることはあります。それを完全に防ごうとすると、口癖が使われるたびに気になり、疲れてしまうかもしれません。

まずは、何に困っているのかを分けて考えてみましょう。日常の口癖が似ることと、子どもへの強い叱り方が繰り返されることでは、気になる理由も対応の優先度も異なります。

すべてを一度に変えようとせず、まずは子どもへの言い方など、特に気がかりなことから話し合ってみる方法もあります。

自分の言葉を必要以上に気にしすぎない

自分の口癖が家族にうつるのを気にし始めると、「この言い方も真似されるかも」と、自分の話し方まで気になってしまうことがあります。けれど、自分の言葉をいつも見張るように意識すると疲れてしまいます。

変えたい言い方があるなら、無理のない範囲で少しずつ練習すれば十分です。家族が自分の言葉を使ったからといって、自分の話し方すべてを管理する必要はありません。

自分が選びたい言葉を大切にしながら、相手の言い方で気になることは、落ち着いて伝えていきましょう。

夫にどう伝える? 相手を責めずに気持ちを伝える方法

夫婦が話し合う様子

真似されることにストレスを感じても、相手にその自覚がなければ、こちらの気持ちは伝わりにくいことがあります。

そんなときの話し合い方として、親業(Parent Effectiveness Training/P.E.T.)の考え方が参考になります。トマス・ゴードンが提唱したコミュニケーション方法で、相手を尊重しながら、自分の気持ちや問題を伝え合うことを大切にしています。親子関係を中心に広まりましたが、夫婦など身近な人との対話にも応用できます。

相手を責めず、自分の気持ちを伝える

夫が自分の口癖を使ったとき、「私の真似をしないで」と伝えると、夫は責められたと感じるかもしれません。そんなときは、相手の意図を決めつけず、自分がどう感じたのかを伝えてみましょう。


「私がよく使う言葉を聞くと、少し複雑な気持ちになるんだ。特に、子どもを叱るときの言い方が似ていると、心配やストレスを感じる。あなたを責めたいわけではなくて、これから子どもにどう接していくか、一緒に考えたい」

相手の性格や意図を評価するのではなく、自分の気持ちと、話し合いたいことを具体的に伝えるのがポイントです。

相手の話を聞き、二人で解決策を考える

自分の気持ちを伝えたら、夫の考えにも耳を傾けてみましょう。「そんなつもりはなかった」と言われたら、それは夫の認識として受け止められます。だからといって、自分が嫌だと感じたことまで取り消す必要はありません。

お互いの感じ方を確かめたうえで、何を変えたいのか、二人が納得できる接し方はあるのかを一緒に考えていきます。

親業では、自分の気持ちを伝える「わたしメッセージ」や、相手の話を理解する「能動的な聞き方」、双方が納得できる解決策を探す方法などが紹介されています。一方だけが我慢せず、互いの気持ちを尊重して話し合うためのヒントになります。

伝え方を工夫しても、相手が必ず理解してくれるとは限りません。それでも、自分の気持ちや希望を整理して伝えることは、話し合いのきっかけになります。

親業の伝え方や聞き方を詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。

自分の怒り方も変えたいときは、どうすればいい?

遊ぶ子どもと一息つく母親

夫が自分と似た怒り方をしていると気づき、「自分も言い方を変えたい」と思うことがあるかもしれません。

まずは、どんなときに強い口調になりやすいかを振り返ってみましょう。疲れているとき、時間に追われているとき、同じことを何度も注意するときなど、きっかけがわかると対策を考えやすくなります。

子どもに伝えるときは、人格を責める言葉ではなく、してほしい行動を具体的に伝える方法もあります。たとえば、「何度言ったらわかるの?」ではなく、「使ったものを元の場所に戻してね」と伝えます。

いつも冷静に対応できるとは限りません。強い口調になってしまったときは、自分を責めず、次に同じ場面があったらどうしようかを考えてみましょう。夫にも変化を求めるなら、二人で取り組める目標を決めるのもひとつの方法です。

よくある質問

ノートにかかれたはてなマーク
人の口癖がうつるのはなぜですか?

身近な人が繰り返し使う言葉を聞くうちに、その表現が自分の言語習慣に取り込まれることがあります。また、会話の中で相手の話し方やテンポに合わせることもあります。

口癖を真似されるのが嫌なのは、おかしいことですか?

口癖を真似されて嫌だと感じても、おかしくありません。相手に悪気がないとわかっていても、自分の言葉を使われることに抵抗を感じたり、変えたいと思っている態度を見せられたようでつらくなったりすることがあります。

「こんなことで嫌がるなんて」と、自分の気持ちを責めなくて大丈夫です。何がいちばん引っかかるのか、少しずつ整理してみましょう。

相手は、わざと真似しているのでしょうか?

必ずしも、わざととは限りません。よく聞く言葉が習慣になり、無意識に使っていることもあります。相手に悪気がないと感じているなら、まずはその前提で考えてよいでしょう。

ただ、真似されることがつらいなら、その気持ちを伝えてかまいません。「わざと?」と意図を問い詰めるより、「その言い方を聞くと、私は少しつらくなる」と伝えると、話し合いにつなげやすくなります。

夫が自分の口癖や怒り方を真似するのが嫌です。どうすればいいですか?

まずは、口癖が似ること自体が嫌なのか、子どもへの怒り方が似てくることが心配なのかを分けて考えてみましょう。後者であれば、単に真似をやめてほしいと伝えるだけでなく、子どもへの接し方について夫婦で話し合うことが役立つ場合があります。

 ミラーニューロンが強い人は、共感力も高いのでしょうか?

必ずしもそうとはいえません。ミラーニューロン・システムは行動の観察や模倣などとの関係が研究されていますが、共感には複数の神経的・心理的な仕組みが関わります。共感力の高さから、ミラーニューロンの活動の強さを判断することはできません。

相手が無意識なら、我慢するしかないのでしょうか?

我慢し続けなくても大丈夫です。相手に悪気がないとわかっていても、嫌だと感じる気持ちは伝えてかまいません。

「真似しないで」と責める形ではなく、「その言い方を聞くと、私はつらくなる」と自分の気持ちを伝えてみましょう。子どもへの叱り方が気になるなら、どんな言い方を大切にしたいかを一緒に話し合う方法もあります。

まとめ:不快な気持ちを大切にしながら、これからの関わり方を考える

日差しの入るリビング

口癖や話し方が人にうつることは、日常の会話でも起こります。よく聞く言葉が習慣になったり、相手の話し方に自然と合わせたりすることが、その背景にあると考えられます。

相手に悪気がなくても、真似されることに不快感を覚えるのはおかしなことではありません。自分の言葉を使われる違和感や、自分の変えたい態度を見せられるつらさ、子どもへの怒り方が家族の中で繰り返される心配など、いくつもの気持ちが重なっている場合もあります。

相手を責めたり、自分の気持ちを我慢したりする前に、「何がいちばん気になるのか」「どうなれば少し楽になるのか」を整理すると、伝えたいことが見えやすくなります。子どもへの接し方が気になる場合は、誰が先にその言い方をしたかより、これからどんな伝え方をしたいかを話し合うことが具体的な一歩になります。

参考文献・参考資料

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Baird, A. D., Scheffer, I. E. & Wilson, S. J. (2011). “Mirror neuron system involvement in empathy: a critical look at the evidence.” Social Neuroscience, 6(4), 327–335. https://doi.org/10.1080/17470919.2010.547085
Gordon Training International. “Parent Effectiveness Training (P.E.T.).” https://www.gordontraining.com/parent-programs/parent-effectiveness-training-p-e-t/

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